今回は一人称視点の探索ゲームが制作できるアセット First Person Exploration Kit の基本機能を確認して簡単な脱出ゲームを作ってみたいと思います。
今回の記事は Unity アセット真夏のアドベントカレンダー 2018 Summer! に参加しています。
一人称視点のアドベンチャーゲーム開発キットで、アイテムを手にとって調べたり、様々な仕掛けが用意されています。
簡単な紹介はこちらの記事「Unity:アセットストアの2018年5月マッドネスセールで買ったアセットのまとめ」で紹介していますのでどうぞ!
YouTubeの動画でデモシーンの一通りのウォークスルーを見る事ができます。
オンラインのドキュメント を確認してどんなことができるか確認してみましょう。
オンラインドキュメントの内容を抜粋して翻訳してみるとこのようになっています。
First Person Exploration Kit フォルダ内には、「Gizmos」というサブフォルダがあります。このフォルダには、キットに付属のオブジェクトタイプの一部にギズモを描画する際に使用されるアイコンが含まれています。
原文:First Person Exploration Kit: Gizmo Icons
ピックアップオブジェクトは、プレーヤーが持ち上げ、持ち歩き、調査、落とす、戻すことができるオブジェクトです。
原文:First Person Exploration Kit: Creating a Pickup
ジャーナルは、プレイヤーが読むための一連のページを表示するインタラクティブオブジェクトです。例えば、ある書籍は、そのページの一部を画面上に表示して、プレイヤーが裏返すことができます。
原文:First Person Exploration Kit: Creating a Journal
オーディオダイアリーは、オーディオファイルを再生し、オプションで画面上にタイトルを表示する、インタラクティブオブジェクトです。彼らはまた、インベントリに収集することができ、後で再び再生することができます。
原文:First Person Exploration Kit: Creating an Audio Diary
添付ノートは、パッシブなやりとりによって他のタイプを補うために使用される特別なタイプのインタラクティブオブジェクトです。たとえば、ジャーナルや彫像、またはオブジェクトに関する背景や背景を提供する他のオブジェクトにメモを付けることができます。また、プレーヤーが見たオブジェクトのリマインダーとして機能することもできます。
翻訳原文:First Person Exploration Kit: Creating an Attached Note
パッシブオーディオダイアリーは、添付ノートに似ていますが、オーディオと同じです。別のタイプのインタラクティブオブジェクトに解説またはオーディオコンテキストを追加することができます。たとえば、パッシブオーディオダイアリーをライトスイッチまたはジャーナルに追加することができます。
原文:First Person Exploration Kit: Creating a Passive Audio Diary
静的インタラクションは、オブジェクトに説明を追加する手段を提供します。静的オブジェクトは、レティクルの下にインタラクションテキストを表示しますが、アクティブ化またはインタラクションはできません。これは物理的にラベルを付けなくても、何であるかをプレーヤに知らせたい場合に便利です。たとえば、アセットに含まれている付属の demoPainting プレハブを参照してください。
原文:Creating a Static Interaction
FPE InteractableInventory Item Script コンポーネントは、プレーヤーがさまざまな方法で収集して使用できるインベントリアイテムを作成する手段を提供します。
原文:Inventory Items and Inventory Consumers Overview
基本的な機能とコンポーネントを組み合わせて次のような機能を作成することもできます。
Togglesは、TOGGLE Event Fire Typeを使用する特別な種類のActivateオブジェクトです。このパッケージで利用可能なさまざまなアクティベーションタイプの詳細については、一般的なアクティベーションタイプのドキュメントを参照してください。
原文:Creating a Simple Toggle (Light Switch)
Simple Door オブジェクトタイプは、単純なスライドドアを作成する方法を提供します。Simple Door クラスは、ダブルドア、スイングドア、ガレージドアなど、他のタイプのドアにも拡張できます。FPE SimpleDoor スクリプトを使用するアセットには、2つのプレハブが含まれています。それらは demoSimpleDoorUnlocked と demoSimpleDoorLockedで、DemoPrefabs フォルダにあります。
原文:Creating a Simple Door
デモプレハブとして [Project]ウィンドウ > Assets > FirstPersonExplorationKit > Prefabs > DemoPrefabs に普通のドアと鍵の掛かったドアの2種類、 demoSimpleDoorLocked とdemoSimpleDoorUnlocked が用意されています。
ドックのやり取りは、プレーヤーがコンピュータ端末、椅子、またはアーケード機などの場所に「ドッキング」することを可能にします。ロックされた位置に加えて、プレイヤーは視界も制限されます。たとえば、コンピュータ端末を作成する場合、プレーヤはドッキング中に移動することができず、コンピュータ画面およびキーボードのみを見ることができるように制限されます。
原文:原文:Creating a Basic Player Dock
イベントトリガーは、プレイヤーがトリガーボリュームに入ったときにスクリプトのシーケンスまたはアクションを作成するために使用されます。イベントは、イベントを使用してインスペクタで定義されるため、好きなだけ単純または複雑にすることができます。その例には、アセットとデモに含まれている demoTriggers プレハブを参照してください。
原文:Creating a Basic Event Trigger
別シーンへの通路は、プレイヤーがシーンを変更する方法を作成するために使用されます。これはプレーヤーの出口を検出するためのBox Collider(Trigger)と、入り口として動作する子トランスフォームで構成されています。プレーヤーが玄関を使用して出ると、指定されたシーンがロードされ、プレーヤーはロードされたシーンの玄関の入り口に置かれます。
原文:oorways and Levels Overview
CutScenesは、FPE Interaction Manager ScriptのBeginCutscene()およびEnd Cutscene()関数の呼び出しを通じて使用できます。
原文:Cutscenes Overview
オンラインドキュメントの Getting Started に書かれている下記の手順を参考にして新規シーンを作成します。
作業を始める前に WebGLでビルドするために Build Settings の設定を変更します。
今回のシーンは Unity公式アセットのモデリングツール ProBuilder を使用して作成。
ProBuilder
全体が10m四方のサイズで南東にドアのある小部屋のある間取りを作りました。
今回は室内シーンになるのでSkybox Material は外し、Environment Lighting の影響は無しにしています。
ライトは Area Light を複数配置して部屋全体を照らし、Realtime の Directional Light を1つ配置しました。
First Person Exploration Kit に含まれている shelf を配置します。
[Project]ウィンドウ > FirstPersonExplorationKit > Models > shelf を選択。このように配置しました。
オブジェクトは 固定なので Static にチェックを入れておきます。
一旦ここで動作確認をしてみます。プレイヤー視点で見るとこんな感じです。
ゲームを再生すると プレイヤーは シーンの原点に配置されるのでこれを調整しましょう。
[Hierarchy]ウィンドウ > Create Empty を選択。名前を PlayerStart に変更。
[Inspector]ウィンドウ > [Add Component] をクリック。検索ボックスに FPE を入力して 一覧から FPE Player Start Position を選択。
オブジェクトを配置するにあたり、あらかじめ変更する箇所があるので確認しましょう。
ピックアップオブジェクトは コンポーネント FPE Interactable PickupScript (Script) の設定でカーソル(画面中央のレティクル)が重なるとハイライト表示されますが、今回はこれを無効にしておきます。
さらにインタラクションテキストのフィールドも空白にしておきます。
カードキーや鍵といった小さいピックアップオブジェクトは床のメッシュコライダーをすり抜けてしまうので部屋の床に Box Collider を追加しました。
用意されているピックアップオブジェクトのプレハブはほとんどライトプローブが無効になっているので、今回使用するシーンに合わせて有効にします。
シーンにピックアップオブジェクトと収集オブジェクトを配置します。
部屋のシェルフにオブジェクトを配置。いくつかのオブジェクトは床に置いてみました。
部屋を脱出するためのドアを開ける鍵オブジェクトを配置します。
これはゲームを開始する度にランダムな位置に配置(隠す)するために、こちらの記事 Unity:リプレイの度にオブジェクトをランダムな位置に発生させる で紹介している方法を使用しました。
まず、[Hierarchy]ウィンドウ > [Create] > Create Empty を選択。名前をSpawner に変更。
Spawner にこの記事で紹介したスクリプト RandomSpawner を作成して割り当てます。
スクリプトの中でオブジェクトを生成する部分を下記のとおり一部を書き換え、生成座標をオフセットしています。
// オブジェクトをシーンに生成 // 変数 respawnPrefab に格納されたオブジェクトを 変数 spawnPoint の位置に生成 // spawnPoint のY座標にオフセット値を追加 Instantiate(respawnPrefab, new Vector3(spawnPoint.x, spawnPoint.y-0.1f, spawnPoint.z), transform.rotation);
今回のシーンでは段ボール箱のプレハブ demoCardboardBox のインスタンスに ReSporn タグを設定しました。ゲームが開始されるとすべてのインスタンス demoCardboardBox を配列に格納。1つのインスタンスがランダムに選択されて鍵オブジェクトの生成場所になります。
スクリプトの編集が完了したら ReSporn フィールド に プレハブ Simple Key を割り当てます。これは[Project]ウィンドウ > Assets > FirstPersonExplorationKit > Resources > InventoryItems > demoSimpleKey を複製して改造しました。
デモシーンで使用されているプレハブを改造して鍵がかかったドアを制作します。
[Project]ウィンドウ > Assets > FirstPersonExplorationKit > Prefabs > DemoPrefabs > demoSimpleDoorLocked を改造して使用します。
まずはプレハブの構造を確認しておきましょう。
demoSimpleDoorLocked –ドアの開閉制御 Scriptコンポーネント
┣ Jamb – ドア枠のメッシュオブジェクト
┣ JambLong – ドア枠のメッシュオブジェクト
┣ playerBlocker – ドアのコライダーオブジェクト
┗ SlidingPart – 戸板のメッシュオブジェクト
┣ DoorHandle – 鍵解除の制御 Scriptコンポーネント
┣ HandleMesh – ドアハンドルのメッシュオブジェクト
┣ DoorwayInteractionBlocker – ドアハンドルのクリックを防ぐコライダー
┗ Quad – 戸板に表示されている鍵アイコングラフィック
まず、ドア枠のメッシュオブジェクトは不要なので削除します。次に戸板とドアハンドルを Pro Builder で作成したメッシュオブジェクトに置き換えます。ドアのサイズは高さ2.5m、幅1.5mに設定しました。
SlidingPart に含まれているコライダー DoorwayInteractionBlocker ですが、開いたドアをクリックしてもドアが閉まらないようにするため、インタラクションテキストの表示をコントロールするためのものだと思います。今回は無くても問題なさそうなので削除することにします。
FPESimpleDoor (Script)コンポーネント> Player Interaction Blocker フィールドをクリアします。
編集後の階層はこのようなっています。オブジェクト名は Room Door 2.5m に変更しました。
demoSimpleDoorLocked – ドアの開閉制御 Scriptコンポーネント
┣ playerBlocker – ドアのコライダーオブジェクト
┗ SlidingPart – 戸板のメッシュオブジェクト
┣ DoorHandle – 鍵解除の制御 Scriptコンポーネント
┗ HandleMesh – ドアハンドルのメッシュオブジェクト
FPESimpleDoor (Script)コンポーネントではインタラクションテキストを編集できるので日本語に変更しておきましょう。
ドアハンドルのオブジェクト DoorHandle の FPEInteractableActivateScript (Script)コンポーネントにもインタラクションテキストがあるのでこちらも日本語に変更します。
編集が完了したら[Project]ウィンドウにドラッグ&ドロップでプレハブに変換。シーンにゲームシーンに配置します。
ゲームを再生してドアハンドルにカーソルを合わせるととこのようにメッセージが表示されます。
少し調べたところ、ProBuilder で作成したオブジェクトのUVマップが上書きされることに原因があるようですが、詳しくは改めて調査したいと思います。
First Person Exploration Kit のアセットをインポートした際、Build Settings には複数のデモシーンが登録されていますが、これらを削除します。ただし demoMainMenu を残しておく、または複製して登録する必要があります。demoMainMenu シーンが無いとゲームを再生してもキャラクターが操作できませんでした。セーブシステムが関係しているのだと思います。
今回は [Project]ウィンドウ > Assets > FirstPersonExplorationKit > Scenes > demoMainMenu を複製してメニューシーンとして Build Settings に登録しました。
メインメニューの解像度変更、メニューテキストやインタラクションテキストを日本語に変更。フォントも日本語フォントに変更しました。
ここからは用意されているプレハブやコンポーネントを少しずつカスタマイズしてみます。
標準ではEsc キーがオプションメニュー呼び出しのキー割り当てとなっていますが、WebGLでビルドしたゲームをWebページに埋め込むにはカーソルロックの解除と重複するためTab キーに変更します。
メニュー:Edit > Project Settings > Imput を選択。Menu > Positive Button フィールド内容を tab に変更します。
デフォルトのプレイヤーキャラクターは狭い部屋では移動速度が速く感じるので、速度を遅くしました。さらにカメラボブ(上下の揺れ)の値とグラフを調整しました。
キャラクターのプレハブは[Project]ウィンドウ >Assets > FirstPersonExplorationKit > Prefabs > FPEPlayerController を選択。 [Inspector]ウィンドウ > FPE First Person Controller (Script) のプロパティを編集します。
最後に、部屋のマテリアルが Pro Builder のデフォルトのままだと味気ないのでマテリアルを設定しました。テクスチャはUnityのアセットストアの無料テクスチャYughues Free Architectural Materials を使用しています。
ここまでの内容をWebGLでビルドしてみました。画像クリックで再生されます。
基本的なアイテム操作とセーブ機能が用意されているので、一人称視点の脱出ゲームを制作するにはちょうど良いアセットだと思います。
色々とカスタマイズができるので、引き続きゲーム制作や改造手順について記事で紹介したいと思います。